出産のはなし④ 心拍低下からの帝王切開
〜入院5日目〜
案の定、夜の0時から始まる前駆陣痛。もう本陣痛くるくる詐欺だと思ってるので、自分の中で諦めモードになってました。
今まで夜こうやって前駆陣痛がきてたら、NSTしてくれれてたんですけど、その日に限っては、なぜか付けてくれず。
まあ付けたところで、本陣痛は来ないんだけど、痛くて寝れないのに寝た方がいいよと言われる地獄。
寝れるんだったらね、わたしも寝てるよね。そう思いながら、やっぱり明け方には前駆陣痛も収まって、あーいよいよ促進剤かー嫌だなーと思いながら寝ました。
7時に起こされて、NSTしている間に母に促進剤が再トライになることをLINEで母に連絡してました。
その時、モニターの胎児心拍が、ものすごくひろいにくく、ひろえてもHR:70〜90回/分で、助産師さんの空気が変わったのがわかりました。
すぐにリザーバーマスク10Lで投与開始され、前回促進剤投与のためにルートキープされていたルートから補液も全開で投与開始されました。左側臥位になるよう指示されたので、横を向いて、ひたすら深呼吸してました。
直前にトイレに行って、その時胎動が確かにあったので、まさか心拍が下がってるとは思わず、少々パニックでした。
しばらくして、心拍は戻ったけど、HR:110〜120回/分と、いつもより遅い。でもとりあえず一安心で、だけど念のためモニターはずっと続けることになりました。
日勤になって、先生の診察と今日の促進剤についてどうするかの話がありましたが、正直こんな心拍が下がった状態で、しかも羊水もほとんどないのに、これ以上赤ちゃんに負担なんてかけられないと思い、帝王切開してほしいと希望しました。
ほんとは、経膣分娩がしたかったので、悔しい気持ちはありました。今回はコロナで無理だったけど、2人目とかは、上の子も連れて立会出産ができたらいいなと思ってたので、少し残念な気持ちもありました。
でも、そんなこと言ってられる状況ではなく、正直この時初めて焦って、早く帝王切開して欲しいと思いました。
先生もこちらの意図を汲み取ってくれて、午後から帝王切開する予定になりました。
旦那はきっと寝てるだろうから、母に連絡して電話で叩き起こしてもらい、同意書を書くために病院に来てもらいました。
いきなりの話で、旦那もびっくりしてはいたけど、最善を選んだ方がいいよねと、理解してくれました。
オペまでの時間が本当に待ち遠しかった。
やっと赤ちゃんに会える喜びと、早く出してあげないとしんどいのではないかという心配と、オペまでの間また心拍低下してしまったらどうしようかという恐怖と、いろんな感情が入り混じって、一言で言うとカオスでした。
オペ室の入室は、13時半予定。12時ごろに一回また心拍低下があって、ヒヤヒヤしました。できることが赤ちゃんになるべく酸素を送るための深呼吸しかなくて、本当にはやくオペの時間になって欲しくてたまらなかったです。
リザーバーマスクは、心拍が一旦落ち着いた時に外していて、酸素はフリーの状態になりました。
そして、ここでまさかのパターンだったのですが、基本的に入院すると立ち会い出産も、面会も現在コロナのせいで制限されていて、差し入れすらも外来での受け渡しで、退院まで家族とは会えない状態が徹底されているのですが、帝王切開だと、オペ室の前で終わるまで待っていていいそうで、しかもすれ違う時に赤ちゃんと旦那が会うこともできるそうで、思わぬラッキーがありました。
オペ室へ移送される時に久しぶりに旦那の顔を見て、ほっとしました。付き合い始めてから、1週間会わないなんてことがなかったから、なんかすごく懐かしく感じました。
オペ室に入ると、ストレッチャーからオペ台に移乗してから、オペ着を脱がされ、これからルンバールするための体位の説明をされました。
右側臥位でお尻を突き出すようにして、背中を丸めるポーズをするよう指示されましたが、これがお腹が出てるせいで、めちゃくちゃ苦しくて困りました。
背中丸めると、お腹が圧迫されてしんどくて、一応オペ看が身体につかまってと、指示してくれてつかまるものの、もっと背中丸めてーと言われる始末。
表面麻酔してからのルンバールからは、すぐに尿道バルーン入れられて、水を身体に当ててどこまで麻酔が効いてるかチェックされました。でも水当たられも全然わかりませんでした。麻酔科医に「水当てていきますねー、わかりますか?」って言われても、当てられたのかがわからなすぎて返事を忘れるレベルでわからなかったです。
ルンバールして麻酔が効いてからは、温かい感じが両足に広がって、痺れてるような、なんだか足が膨張してゴムになったかのような感覚になりました。
もう触られてるのも曖昧で、何されてるかも見えないので、どうなってるのかわからなくなりました。
頭元に麻酔科医がいるので、逐一何しますよーと声をかけてくれたのが、安心できました。
赤ちゃんのことが気がかりで、どうなってるのか心配でしたが、「もう頭が見えてきたよ」と言われて、心臓がドキドキして、赤ちゃんが生まれる喜びなのか、赤ちゃんが無事でいてくれているかという不安なのか、涙が出てきて止まりませんでした。
「出てくるよーきたー」と言われてすぐに赤ちゃんのオギャーという声が聞こえて、ほっとした。さらに涙が出てきて、もう止まらなくて、へその緒を切って、泣いている赤ちゃんを見せてもらいました。
いっぱい声を出して、一生懸命に小さな肺を膨らませて、生まれたてでも、呼吸機能を最大限フル活用して息をしてるのを見て、ものすごく安心しました。
心拍が低下した時、もし出てきても息が止まってしまっていたらと考えてしまって、経膣分娩より赤ちゃんに負担はないといえど、それだけ本当に怖かったので、産声を聞いた時は、本当に安心しました。見た感じでは、アップガースコアも問題なさそうな感じで、手足をバタバタさせて可愛かったです。
赤ちゃんが取り出されてからは、切開した部分を縫合して、オペ室を出たのが入室から45分くらいしてからでした。
オペ室の外では、旦那が待っていてくれて、赤ちゃん見れたよーと嬉しそうな様子で、お疲れ様と労ってくれました。
無事に赤ちゃんが生まれることができたこと、赤ちゃんを旦那に見せることができたこと、そのことがとても嬉しくて、今回お産でイレギュラーなことが多かったけど、嬉しいこともあって、結果オーライだったなと思いました。
部屋に戻ってからも麻酔がまだ効いているので、動けないため、ストレッチャーからベッドの移乗は、スタッフ3人がかりでしてくれました。
オペ後って個室管理のイメージだったんですけど、大部屋でもいいとのことだったので、もともといた部屋にそのまま帰室しました。
ベッドに寝転んで一息ついたら、赤ちゃんを連れてきてくれて、添い寝させてもらいました。
自分の横に小さい小さい身体をもぞもぞ動かしている赤ちゃんが、可愛すぎて、本当に愛おしくて、ずっとこの子がお腹にいたのか、わたしがこの子を産んだのかーと、感慨深い気持ちになりました。
あとオペ後身体が冷えるんですが、自分の冷たさにドン引きしつつ、隣の赤ちゃんが暖かくてポカポカしてたので、心地良かったです。
手は動くので、ツンツンしたり、頭の匂いをかいだり、自分の指を握ってもらったり、思う存分に赤ちゃんを堪能してました。
もう本当に可愛くて、この小さい生き物をわたしが全力で守りたいっていう庇護欲がドバドバと溢れ出て、身体はめちゃくちゃオペ後で麻酔もちょっと切れかかってきて、創部の痛みもでてきて、倦怠感がすごいんですけど、気持ちはハイになってました。
しばらくして麻酔が切れてくると創部の痛みと後陣痛が出てきて、とんでもなく身体がだるかったです。
子宮復古の確認のために胸の下まであった子宮がすでにへそ辺りまで収縮してるのを確認するのに腹部を容赦なく押されてました。恐るべし子宮底の戻る力......押される痛みは、そこまでなかったのが救いでした。
最初に左足の先が若干動くようになって、そこからどんどん麻酔が切れていくのに比例して、創部の痛みがどんどん強くなっていくのがわかりました。
そもそも怪我も病気もあんまりしないんですが、ほんとに今まで経験したことのない痛みで、なんで言い表したらいいのか...ほんとに鈍痛がずっと続いて、ちょっとでも身体を動かそうものなら鋭い痛みが出現する感じが辛かったです。
ちなみに麻酔は、まだ若干効いているので、身体を横にも向けられず、なんとかズリズリと自分の体を寄せるぐらいしかできませんでした。足を動かせないので、腕で柵を持って動こうとしても動けないんですよね。
しかも足には、静脈瘤の予防のために弾性ストッキングを履いた上からフットポンプを装着させられてて、これがまた動きにくさを増長させてました。
そんな状態のまま、絶飲食で夜に突入。
一応定期で痛み止めのアセリオを投与してくれてたけど全然効かない。
たぶん痛みが強すぎて、効いてるんだけど、効いてるとわからないレベルで痛くて、夕方我慢できずに頓用のソセゴンを希望して、投与してもらいました。
ソセゴンも正直痛みが和らぐかと言われれば、なんかほんと痛くて、正直効いてるのか効いてないのか、わからない状態でした。
どちらかというと鎮痛というより、ふわふわした感じがあって、鎮静の方に効果があって、入眠はできたかなという感じで、抗生剤とアセリオとソセゴンを交互に投与してもらってました。
薬が切れると、もう早く次の痛み止めくれーという意識になり、薬に固執する患者の気持ちが1ミリだけわかった今日この頃でした。
痛みも辛いんですけど、寝転んでると今度は背中が痛くなってきて、自分で意を決して体位交換するんですけど、これがまためちゃくちゃ辛い。
横向く前に少し動いた段階で痛くて、横向くためにまず身体を左右どちらかに寄せなければいけないわけですけど、それもめちゃくちゃ気合入れて、動くぞやるぞせーのって感じに動いてました。
そこから身体自体を横に向けるのも柵を持って、自分の力だけで動くのは怖すぎるので、自分の下にあるオペ着を引っ張って横向いたりしてました。
横向くだけでたぶん10分くらいかけてた。ほんと痛くて、動くと傷口が滲みる感じと、なんか熱いような感じと、常にズンズンするような痛みが同時にきて、人生初体験の痛みでした。
というか全麻じゃないからって、体位交換こんなにもしてくれないものなの?こんなにも放置されるものなの?と、ちょっと衝撃でした。
たしかに2.3時間おきに巡視と点滴更新もあったから、ちょこちょこ訪室はしてくれてたけど、患者の全身状態の観察という意味では、クソレベルの看護だなと思ってしまいました。
次回から、出産レポートではなく、産後レポートへ移行します。
ちなみに帝王切開だったので、まだここから入院生活が1週間続くという、ほんと1人で一体いつまで入院してるの状態でした。